例えば、独シーメンスは10年10月、アブダビ首長国に医療センターを設置し、がん、心臓病、神経系疾患の早期発見や治療を提供する。診療部門は、米国メリーランド州のジョンズホプキンス大学病院が運営。シーメンスは施設で使用する診断用医療機器を導入した。
また、韓国も電子カルテなどを得意とするサムスングループが調整役となり、ドバイ福祉省と医療人材の相互交流の覚書を締結するなど、各国が機器・サービス一体として売り込み攻勢をかけている。
「病院丸ごと輸出」を積極展開している国との格差は急速に広まる。ドイツや韓国が、インドなど新興国市場への輸出額を伸ばしているのに対し、日本企業は思うように伸ばせない。
日本政府は「パッケージ型インフラ輸出」の新たな主要分野に「医療」を位置付け、官民一体で、日本の強みを結集した日本版「病院丸ごと輸出」も視野に新戦略を描く。
◇
製品、サービス…アドバンテージの集約カギ
東レ経営研究所の増田貴司チーフ・エコノミストは「(国を後ろ盾にして貿易を促進する)『新重商主義』の傾向が世界的に強まる中、政府はインフラ全体の構想を描き、国際標準づくりに関与するなど、率先して(戦略づくりに)取り組むべきだ」と、政府のリーダーシップに期待を寄せる。