呉氏は日本総領事館の近くからデモを眺めていたが、集団を50人くらいに区切り、代わる代わる領事館の前まで近づくよう、警察隊が整然と“交通整理”していたのを目にした。
呉氏は「言葉のなまりで地方から来た人が多いなあと感じた。領土問題は暴れてスカッとするためのきっかけにすぎなかった」と話す。
現状について、すでに中国に進出している日本企業の態度は「様子見ではないか」と分析。これに対し、これから進出を検討する会社に対しては「じっくり考えればいい」と助言したという。
中国に過大な期待は禁物
この助言の裏には、これまでの経験も踏まえ、「何も考えずに中国に進出する企業が多すぎる。進出するだけでは事態を打開することにはならない」という忸怩(じくじ)たる思いがあるという。
中国では工場の人件費がざっと年20%のペースで上昇。最近は製造業だけでなくサービス業も中国進出意欲が高いが、商業の中心地・上海の人件費は台湾よりも高く、北京と上海の家賃はかなり高いという。
進出を考える企業にとって、この状況は明らかにデメリットだ。