食料品にも値上げの兆しがある。4月から国が買い入れた輸入小麦を製粉会社などに売り渡す価格が平均9.7%上がるのに伴い、製粉各社は価格を上げる見通し。パンや麺などに影響が広がる可能性がある。
円安で上昇したコストを転嫁する形で最終製品の価格が上昇すれば、物価が上がり、デフレ脱却の糸口が見えるという楽観的な見方もある。しかし、賃金が伸び悩む中では消費者は財布のひもを緩めない。個人消費に火が付き、景気を上向かせる期待は乏しい。
家計の給与が増えて、生活費に余裕が出れば消費が増える。これが、企業収益の拡大を実現し、その結果、雇用と賃金の改善をもたらす。政府が描くのは、家計と企業の懐を同時に潤す好循環のシナリオだ。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「企業収益の拡大につながる成長分野を育てることが雇用と賃金を増やす最善の道」と指摘している。