オリンピックに対して言われるように、国対抗のメダル競争は「今の時代に合っていない」との認識が出始めている。サッカークラブに外国人選手がさまざまに入り組んでいるのを見馴れた目には尚更だ(それでいながらW杯は盛り上がるのだが)。
国境を越えた活動がグローバル化するなかで、国を単位とするのが障害になることも多い。多国籍活動においては、「輸出」「海外進出」という言葉も実態に合っていない。
例えばタイで生産している日本のメーカーのクルマがインドネシアで販売される状況に、これらの言葉はしっくりこない。EUや今後のASEAN統合をみるまでもなく、従来の国の枠組みは実際に見直されつつあると考えてよい。政治的経済的な単位が変わりゆく。
だが、この現象によって「地域」がなくなるわけではない。
山のなかに住む人と海のそばに住む人の考え方や行動パターンが違う。「私は風邪をひいたので会社を休んだ」という順序で言葉を話す人達と、「私は会社を休んだ。なぜならば風邪をひいたから」と説明する人達の間には違った動作の特徴がある。地理や言語の制約はどうしてもかかる。
ボーダーレスの世界になり国の概念がどう変貌しようが、人間社会は環境の産物であることを忘れてはならない。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場をモノのローカリゼーションレベルから理解するアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だ。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。今年は素材ビジネスやローカリゼーションマップのワークショップに注力。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih