環境汚染が深刻化する中国で、上海市の中心を流れる主要水源の黄浦江(こうほこう)から5000匹以上の豚の死骸が回収され、市民に不安が広がっている。ウイルスに感染して死亡した豚が上流部で遺棄されたものとみられているが、市当局は「水質に問題はなく、水道水は安全に飲める」の一点張り。中国では環境汚染に関する情報が“国家機密”という厚いベールに覆い隠されてきた。開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)でも問題になっており、情報隠蔽(いんぺい)に対する人民の不満は高まるばかりだ。
5000匹超える
「黄浦江は上海市民2000万人の飲料水の源である。そして今回の恐ろしい出来事は、市民が(中国版ツイッターの)微博(ウェイボ)に(豚の死骸の)写真を投稿したことで公になった」
中国の有名なエンゼル投資家である薛蛮子(シュエ・マンズ)氏は、自ら微博に投稿し、情報隠蔽を続ける当局を批判した。
海外メディアによると、死骸が最初に見つかったのは今月(3月)7日。3月10日に1200匹が回収され、12日には5000匹まで激増した。上海市当局は11日になって、「近隣地域と協力し、発生原因や大量の豚の遺棄場所の調査に入っており、川への投棄をやめさせる手段も検討している」などと説明。しかし、原因や人体への影響など詳細は明かさず、「水質汚染は確認されていない」と繰り返している。