退任の記者会見をする日銀の白川方明氏【拡大】
3月上旬の黒田氏らの衆院の所信聴取はまるで、政治の要請にどれだけ忠実に応えるかを問う場のようで、「何でもやる」といった勇ましい所信表明が相次いだ。
ところで、この数日前に米上院で行われたバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の公聴会で政治家が追及したのは、日本とは逆に、量的緩和が経済に与える弊害だった。すでに米国では金融市場の一部にバブル再燃の懸念が出ているのだ。
シェルビー議員(アラバマ州・共和党)が「3兆ドル(約281兆7600億円)もの量的緩和(資産買い取り)をやって大丈夫か」と質問すると、議長は明確に答えず「FRBがこんなに資産を持つのは初めてだが、他国の中銀だってやっている。たとえば日銀だ」と矛先をかわした。
先行きを保証することはできないが、大規模緩和が世界の趨勢(すうせい)だ、といわんばかりの答弁だ。