4月の鉱工業生産指数や1世帯当たりの消費支出なども改善が続いており、景気が本格回復に向かいつつあることがうかがえる。アベノミクスによる円安や株価上昇は、富裕層の消費拡大や企業業績の改善で効果を先行させていた。
それが経団連の調査で、大手企業の夏のボーナスは昨年に比べ約7%増額となる見通しとなったほか、有効求人倍率も改善するなど、賃金・雇用にも波及しつつある。
こうした中、企業にも先行きへの楽観論が広がっている。アベノミクス効果で、高額品の販売増で先行した百貨店業界も「比較的手が届きやすい商品の売れ行きも伸びている」(日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事)なか、高島屋は東京店(東京都中央区)の改装投資費を前年度の3倍に増やすなど、攻めに転じつつある。
自動車業界でも「東日本大震災以降、久々に夏のボーナス商戦が期待できる」(ホンダ幹部)と、明るさが出ている。
今年後半に向けては、こうした消費マインドの改善や政府の経済対策の効果が本格的に景気を押し上げ、「個人消費は堅調に推移していく」(明治安田生命保険の謝名憲一郎エコノミスト)という見方が出ている。
デフレ脱却が企業収益の改善を通して個人消費を一段と拡大させ、本格的な回復につながるとの期待が高まっている。