さらに政府は、「収束宣言」を正式に撤回し、“非常事態”にあることを宣言すべきです。国内外の英知を結集した抜本的な対策を進めるためにも、このことを避けて通ることはできません。
◆当事者能力失った東電
汚染水問題をここまで深刻化させた大本に、「コスト優先・安全なおざり」の東電まかせにしてきたことがあります。「原子力損害賠償機構法」も、“事故処理、賠償、除染は「東電の経営努力の範囲」で”というスキームです。ここに根本的な誤りがあるのです。
すでに東電は、事実上の債務超過に陥り、公的資金で「延命」させている企業です。事故の収束・廃炉と除染・賠償をまともにやろうとすれば、東電の「見積もり」をはるかに超えることは確実です。このまま東電を公的資金で延命させながら、東電に「指示」するだけで、小出しの対策をつないでいくのでは、事態の抜本的打開は望むべくもありません。
東電に対しては破綻処理を行い、資産を徹底的に洗い出し、メガバンクに必要な債権放棄をさせるなど、利害関係者に当然の責任を取らせる必要があります。そして、国が直接に福島第1原発の事故収束と賠償・除染に全責任を負う体制を構築すべきです。