東電を破綻処理した後には、一時的に国有化して電力事業を継続することが必要になります。そのさい、将来の電力事業のあり方については、発送電分離などの電力供給体制の民主的改革をすすめることが必要です。
発電事業は、再生可能エネルギーの活用を大規模に進めるためにも、多様な発電業者が参入できるようにすべきです。固定価格買い取り制度の拡充も必要です。同時に、送電事業者に対しては接続義務などのルールを強化して、公的管理を強める改革が必要だと考えます。
◆再稼働に向けた作業が障害
いま、原発の再稼働に電力会社や原子力規制委員会が奔走しています、しかし、専門家や技術者などの総力をあげた対策が求められている福島原発の汚染水問題の解決にとっては、これが大きな障害となっています。
原子力規制委員会は、全国各地の原発の再稼働に向けた地層調査などではなく、福島原発の地層・地下水などの調査・実態把握にこそ力を注がねばなりません。原発の再稼働や輸出のための準備や活動などは、ただちに停止すべきです。
福島原発の放射能汚染水問題の抜本的解決を最優先課題として進めるために、将来のエネルギー政策への立場の違いを超えて、今こそ、英知と総力を結集するときではないでしょうか。
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【プロフィル】小池晃
こいけ・あきら 1960年生まれ、東京都出身。東北大学医学部医学科卒。東京勤労者医療会代々木病院などを経て現在、参議院議員、日本共産党副委員長・政策委員長。著書に「どうする 日本の年金」(新日本出版社)など。