◆東京でも説明会
こうした事情を背景に、南部経済回廊が貫くカンチャナブリ県では不動産価格が高騰している。県庁舎には「南部経済回廊の早期完成を!」の垂れ幕。県内の学校では教員が10年後の経済発展を子供たちに教える姿もある。「大手飲料メーカーが数千ライ単位で土地を買い占めた」という未確認情報も土地価格を底上げする要因となっている。
地価高騰の余波は意外なところにも出ている。「最近、日本からの資産運用の照会が増えるようになった」と話すのは、前出の在タイ資産運用日本人コンサルタントの佐々木さん。昨年末ごろからインターネットなどで情報を得たという個人投資家らが直接、問い合わせをしてくるようになったという。このため佐々木さんは今年に入ってから東京などでも説明会を開催するようにしたところ、盛況が続いているという。
相続税がないタイでは伝統的に「土地を所有することが最も安定的な資産運用」という価値観が根強く残っている。そこに降って湧いたかのような「南部経済回廊構想」。タイの土地事情の行く末は果たしてどうなるのか。今はまだ、そのことを指摘する見解はほとんど聞かれない。(在バンコク・ジャーナリスト 小堀晋一)