今月8日、フィリピン中部を襲った超大型の台風30号(現地名ヨランダ)は、高成長を続けていた同国に甚大な影響を及ぼすとの懸念が広がっている。
現地紙インクワイアラーなどによると、台風による農業被害額は、当初見込みの約2倍の68億8000万ペソ(約157億5500万円)に達する見通し。プリシマ財務相は「台風の被害を受けた西部・東部・中部ビサヤ地域の来年の成長率は、8%押し下げられるだろう」との見解を示した。
被災地は農業が盛んで同国の国内総生産(GDP)の12.5%を占める。復興には時間を要することから、同国の今年のGDPは、0.5~1%減少するとも予測されている。
国連機関によると、被災者数は1300万人に達したもようで、家や仕事を失った者も多い。被災地はマニラ首都圏に比べて貧困率が高く、台風の被害により貧困問題が一層深刻化することが懸念されるため、バリサカン国家経済開発長官は「早急に被害を把握し、被災者の支援策を強化していく」との姿勢を打ち出している。