与党税調会議であいさつする公明党の斉藤鉄夫税調会長(左から2人目)。右隣は自民党の野田毅税調会長=12日午後、東京・永田町の衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)【拡大】
消費税率10%引き上げと同時なのか、それ以降なのか-。12日に与党が決定した平成26年度税制改正大綱で、曖昧なまま結論が先送りされた生活必需品などへの軽減税率導入問題。大綱には「対象品目の選定、具体的財源の手当てなど詳細な内容を検討して26年12月までに結論を得る」と記された。導入に積極的な公明党と慎重な自民党との間で、さらなる綱引きが続きそうだ。
公明党の北側一雄副代表は12日、軽減税率の対象品目や個々の税率を含む詳細な制度設計の素案を来年夏にも自民党とまとめる意向を明らかにした。国会内で記者団に「来年の夏から秋にかけて制度設計の素案を作って、みなさんに知ってもらう」と述べた。
公明党は、27年度税制大綱に具体的な制度設計が盛り込まれれば、法律通り27年10月に消費税率が10%に引き上がる場合でも軽減税率をセットで導入できると見る。斉藤鉄夫税制調査会長も12日の記者会見で「(27年)10月に導入するのは、決して無理なことではない」と強調した。
これに対し、自民党の野田毅税調会長は軽減税率の導入時期について「今の段階で言及するのは難しい」と指摘。麻生太郎財務相も会見で「(軽減税率の)導入には結構な時間がかかる」と慎重な見方を示した。
軽減税率の導入に向けては対象品目の選定の難しさや財源などに課題がある。しかし消費税には低所得者ほど負担が大きくなる逆進性があり、税率10%段階で早期に軽減税率が適用されなければ、低所得者の負担は増すばかりだ。
素案作成について、北側氏は「来年1月から与党税協で議論を始めたい」とする。自民党も、議論開始を受け入れる方針だが、結論までには紆余(うよ)曲折が予想される。