◆人材確保が困難に
両国に比べると、ミャンマーの場合は僧院で読み書きなどを教えることから識字率は90%以上と高いものの、進出企業の急増に伴って、人材の確保は徐々に難しくなりつつある。とくに進出日系企業の数が10月末現在で156社と、民政移管前の2010年の3倍にもなったことで、日系企業の間では日本語を話せる優秀な人材をめぐって引き抜き騒ぎも起きているほどだ。
こうした問題を解決しようと、企業もあの手この手だ。日本語だけでなくさらにスキルの高い人材確保に成功したのが、税理士法人を中心とするスリーエスグループ(千葉市)だ。
同社は昨年、ヤンゴンに100%出資で現地法人「3Sインターナショナル・ミャンマー」を設立し、日本語ができるだけでなく、帳簿も読める人材の確保に乗り出した。
現地法人社長で税理士の隈部孝博氏によると、まず、日本語検定3級以上を条件に「日本語による簿記を教えます」と募集をかけた。応募してきた約80人を適性試験や面接を経て、36人に絞り、30時間の簿記講習を行ったのちに、修了試験をパスした20人余りの中から4人を採用したという。
同社ではビジネスコンサルティングや市場調査などに加えて、これまで日本で行っていた書類のデータ入力の一部もミャンマー側で行うようになった。
隈部氏によると、日系企業の進出で、日本語を話せる人への需要は一段と高まっており、企業規模や仕事の内容によっては、日本人並みの給料をもらう人も増えているという。