◆国土強靱化の要望
加えて2020年東京オリンピック開催が決まり、都市インフラの整備・強化が必要となった。このほか首都直下型地震や南海トラフ巨大地震への対策や、大規模な洪水被害防止など「国土強靱(きょうじん)化」への要望も高まる。
こうした中で自民党内からは「積極的な防災・減災への取り組みで、国民の生命・財産を守る。それが政治の責務だ」(二階俊博衆院議員)と公共事業拡大の大合唱が巻き起こった。
それでも財務省は当初、25年度と同じ枠組みベースで公共事業費を減額する方針だった。しかし、景気回復による税収増加がはっきりし始めた11月下旬、野田毅衆院議員ら自民党の幹部が、麻生財務相を訪ね「公共事業費を減らすと、地方の支持率が下がる。民主党と同じ道を歩むことになる」と詰め寄った。
「アベノミクスによる景気回復の恩恵が地方には行き渡っていない」という“殺し文句”には、財務省側もあらがえなかった。
特別会計のルールが変更になり、公共事業に地元自治体が払う「地元負担金」が上乗せされたこともあり、26年度公共事業費は実際以上に膨れあがった。
◆入札不調 使い残し
ただ、公共事業費の経済効果には疑問の声も強まっている。資材価格の高止まりや現場の人材不足、人件費の高騰などで、公共工事の入札は不調が相次ぎ、予算も使い残しが増えている。
国の一般会計決算では公共事業費の繰越額が年々増えており、24年度は約3兆7千億円にのぼった。「コストが合わず、入札を2次、3次とかけても応募がない案件も多い」(国交省幹部)という。
入札不調や予算の使い残しが克服できなければ、公共事業の拡充による景気押し上げや、地域経済の活性化も画餅となる。国の借金残高が1千兆円を超えて膨らむ深刻な状況で、増税により家計に負担を強いる以上、国民に十分な成果をもたらす公共事業の実現が、政府の果たすべき責任だ。(平尾孝、黄金崎元)