【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(10) (3/3ページ)

2014.1.3 05:00

脱穀後、籾は圃場で計量、袋詰めされ、ボートで精米所に運ばれる=13年3月、パテイン(筆者撮影)

脱穀後、籾は圃場で計量、袋詰めされ、ボートで精米所に運ばれる=13年3月、パテイン(筆者撮影)【拡大】

 ◆評価制度の導入必要

 ところが、ここにきて大きな問題に直面している。契約農民がRSを作付けして生産したCSがあまり売れないのである。種籾として使われるCSは生産量の半分で、残り半分は飯米用に精米されてしまうという状況にある。これでは近い将来にミャンマーのすべての農民が優良種子を使ってミャンマー米の品質が飛躍的に向上する、という計画は絵に描いた餅になってしまう。

 理由はCSを使った優良籾を商人や精米所が必ずしも高く買い上げない、というところにある。ミャンマーは1962年に始まった社会主義政権から軍政期の03年に至るまで籾米供出制度を敷き、農民から安価に籾を徴発していた。重要なのは供出量を満たすことであり、農民がどんなに品質の高いコメを作っても評価されることはなかった。こうした制度が長く続いたため、籾米取引が自由化されても、コメの品質を評価する普遍的な制度がないのである。商人や精米所の言い分は、優良籾に高価格をつけても、その分精米が高く売れるわけではないのでもうからない、というものである。

 だが、一部のコメ専業会社や精米所は、RSを供給して農民に作ってもらい、できたCSは全量買い上げて、これをすべて契約栽培で生産し、その籾米も全量買い上げるというシステムを導入している。そのコメはヤンゴンの高級米市場や輸出市場に出ていく。この方法が広く行き渡るためには、国家レベルの評価制度や優良種籾買い上げ制度の導入とともに、精米業者や生産者組合による普及活動、コメのブランド化などが必要であろう。

 このように、種子フローを生産物のフローまで拡大することによってのみ、本プロジェクトは成功を収めることができる。先は長いかもしれないが、その効用は大きい。(随時掲載)

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