【海外進出支援の現場から】三国間貿易への物流取り組み事例 (1/3ページ)

2014.1.14 05:00

萩原輝彦・みずほ銀行直投支援部調査役

萩原輝彦・みずほ銀行直投支援部調査役【拡大】

 □萩原輝彦・みずほ銀行直投支援部調査役

 【問題】

 生活雑貨品の製造卸を行っているA社は、東南アジア諸国連合(ASEAN)のX国で生産委託を行い、製品を輸入している。国内物流センターで流通加工(検品・タグ付け・個包装)を行った後、販売先B社の指定倉庫へ納品している。

 納品後の流通経路を尋ねてみると、国内店舗向けと海外向け輸出の2パターンあることが分かった。国内シェアは堅実に伸びているが、海外向け輸出は、海外の競合他社に市場シェアを奪われており、取扱量が年々減っている。他社小売価格が非常に安価であり、抜本的なコスト低減を行い販売競争力を強化する必要があると認識している。

 【対策】

 まず、海外向け輸出製品のモノの流れをみると「生産国→日本(A社物流センター→B社指定倉庫)→販売国」となっている。物流コスト低減を考えるのであれば、単純な発想として生産国から販売国へモノを直送することが思い浮かぶ。

 では、直送できない要因には何があるのか。本事例では(1)製品品質への信頼性が十分ではない(2)流通加工を行う必要がある(3)売買契約上の制約がある-という3つの点に着目した。

 (1)については、従来一定の割合で不良品が含まれていたが、現地拠点がないため、品質管理スタッフが出張で出荷前検品を行うしか手立てがなかった。それでも、全ての商品を対象に現物確認ができず、やむなく日本で検品を行っていたようだ。今回、モノを直送するという前提で検討したところ、生産国に品質管理を行う拠点として、駐在員事務所か現地法人設立を検討することになった。今後は、OEM(相手先ブランドによる生産)工場内に常駐する形で品質管理スタッフを配置することになるという。

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