「物価目標に手応えを感じている。量的・質的緩和は効果を発揮している」
黒田総裁は消費者物価指数について「半年程度は、1%台前半で推移する」と説明した上で、2年で2%程度とする物価上昇率の目標に自信を示した。
だが、市場では急速な円安の効果が薄まり、今後は物価の伸びが頭打ちになるとの見方が多く、日銀の追加緩和観測も浮上している。これに対し黒田総裁は「リスクは顕在化しておらず現在の金融政策は続く」と述べ、クギをさした。
22日の決定会合で、白井さゆり審議委員はリスク要因として「国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきだ」と主張した。所得環境は改善しつつあるが、残業代や一時金の増額が中心で、所定内給与は伸びていないことが背景にあるとみられる。
企業業績の回復に比べ個人の景況感の改善は遅れており、黒田総裁は「今後の所定内賃金や(今春闘での)ベースアップに注視していく」と述べた。足元の物価上昇は要因として円安に伴うエネルギー価格の上昇が大きく、賃上げが「物価安定目標のために重要だ」(黒田総裁)とした。