安倍晋三首相は24日の施政方針演説で、長期政権を視野に首脳同士の強固な人間関係を築いた上で課題の解決に取り組む戦略的なトップ外交を打ち出した。世界の平和と安定に貢献する「積極的平和主義」を今後も貫く意欲も示した。
「直接会って信頼関係を築きながら、一つ一つ前に進む。いかなる課題があっても首脳同士がひざ詰めで話をすることで物事が大きく動く」
首相は演説で、就任1年以内にロシアのプーチン大統領と4回首脳会談を行ったことなどを挙げ、今後も「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を進める意欲を示した。
懸案の北方領土問題の解決には「首脳間で方向性が出なければ進展は難しい」(外務省幹部)。首相は2月にソチ冬季五輪に合わせてロシアを訪問し、5回目の首脳会談を行う予定だ。
トップ外交の重要性は、これまで30カ国を訪問し、150回以上の首脳会談を行ってきた首相自身が自覚している。それゆえ、演説では、対話のドアを閉ざす中国に関する部分で特別に語気を強めた。
「課題が解決されない限り対話をしないという姿勢ではなく、課題があるからこそ対話をすべきだ」
中国に加え、一度も首脳会談を開いていない韓国が主張する、歴史認識などへの謝罪といった「条件付きの会談」要求には応じない意思を重ねて強調した。
だが、中韓両国は世界中で展開する「反日宣伝」をますます強めている。
首相はスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で行った22日の外国メディアとの意見交換で、日中関係の衝突について「そうならないようにしなくてはならない」と述べ、対話の重要性を語った。
これが英紙などに「日中関係を第一次大戦前の英独関係になぞらえた」と誤って報じられ、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は24日、外務省に首相の真意を説明するよう指示。さっそく同省は英BBC放送などに説明し、理解を求めた。トップ外交だけでなく、こうした地道な積み重ねで真の友好国を着実に増やせるかが問われる。