■輸出増へ産業構造の転換を
日本の経常赤字が拡大している。昨年11月の国際収支(速報)によると、モノやサービスなど海外との取引を示す経常収支が5928億円と2カ月連続の赤字を記録し、比較可能な1985年以来、単月では過去最大を更新した。原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電向け燃料の輸入増による影響もあるが、円安でも企業の輸出が増えない構図が顕著だ。
これは日本企業の海外移転が進み、国内の産業空洞化が暗い影を落としている。甘利明経済再生相は「貿易立国という原点が揺らいでいる」と懸念を示したが、政府も具体的な処方箋はまだ描けてはいない。日本経済にいま問われているのは、高付加価値製品の開発・輸出に向けて注力するなど産業構造の転換といえる。
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経常収支は貿易収支と所得収支などを合算したものだが、拡大する貿易赤字が経常赤字につながっている。昨年1年の貿易収支が過去最大の11兆4745億円の赤字を記録。これが所得収支の黒字を上回って大幅な経常赤字を生み出した最大の要因になった。
これまで日本の経常黒字は長年、貿易収支と所得収支の黒字に支えられてきた。だが、東京電力福島第1原発事故で全国の原発が相次ぎ稼働を停止し、これを補うために液化天然ガス(LNG)など火力発電所で使う化石燃料の輸入が急増。輸入数量の増加だけでなく、円安も輸入金額を押し上げることになって貿易赤字を膨らませているのが現状だ。