米国の量的緩和縮小にともなう金融市場の動揺が止まらない。通貨下落に見舞われた新興国の一部は28日以降、相次いで利上げによる通貨防衛策をとり、混乱はいったん収まったかにみえた。だが、29日に米国が一段の緩和縮小を決めると再び通貨安や株安が進んだ。脆弱(ぜいじゃく)な経済構造を抱える新興国の通貨下落が際立っており、米量的緩和の縮小があぶり出した新興国リスクが世界経済の足かせとなる恐れも浮上している。(塩原永久)
「トルコは市場予想を大きく上回る利上げに踏み切り、通貨防衛に強い決意をみせていたのだが…」
30日、ある大手企業の運用担当者は首をかしげた。
先週後半、アルゼンチンの通貨不安に端を発した混乱が新興国に広がり、自国通貨が売られたトルコの中央銀行は28日、利上げを決定。主要政策金利を現行の4・5%から10%へと引き上げた。
通貨トルコ・リラは下げ止まり、利上げの声明公表から2時間後に開いた東京株式市場も大きく反発した。インドや南アフリカの中銀も主要政策金利を引き上げ、新興国発の不安の連鎖が断ち切られる期待を抱かせた。
だが、FRBのFOMCは29日、資産購入額を100億ドル減らす緩和縮小策を発表。これを受けて新興国通貨は再び売られ、株安も進行した。
米量的緩和の縮小観測が浮上すると、新興国に流れ込んでいた投資資金が流出。新興国の通貨下落や株安を招き、世界に波及する。そんな構図は、米FRBのバーナンキ議長が緩和縮小方針を示した昨年5月以降、何度も繰り返されてきた。