女性キャスターも黙ってはいない。「人民会議で政治改革を進めれば汚職がなくなる」「デモ以外にどのような方法があるのか」などと切り返す。だが、チューウィット党首は余裕綽々(しゃくしゃく)の様子で「過去には民主党政権もあったし、ステープ(元副首相)は35年以上も議員をしながら何も解決することができなかった。(政治的意思表明は)選挙で行うべきだ」と相手にしなかった。
極め付きは、15分ほど“議論”が続いた最後だ。形勢不利となった女性キャスターが「選挙をすれば(与党タイ貢献党に)負けてしまう」とつい本音をこぼすと、チューウィット党首は少し同情した様子で、「それが選挙、民主主義というものだ。民主党が評価されていない結果だ」と静かに語り、いなしてみせた。
◆異色の経歴
テレビで一部始終を見ていたタイの有権者からは、賛否二分する意見が番組に寄せられた。ラムカムヘン大学のブンさんは「チューウィット党首は政府からお金をもらったのでは」と憤慨したという。一方、それまで投票を棄権しようと思っていたという会計事務所勤務のノーイさんは「政治家が初めて正しいことを言うのを聞いた」として、選挙ではラック・タイランド党に投票することを決めた。ラック・タイランド党広報の話では、賛同意見はその後も党に寄せられているといい、中には「男を上げた」という意見もある。