このような事態を避けるため、民間系工業団地では事前の土地に関する権利調査を入念に行うほか、強制収用は行わず、住民と双方合意を得られた買収価格に限って土地を取得する開発主体もある。
契約にあたっては、契約上の免責範囲などを確認し、特に政府系工業団地では土地の権利調査を弁護士などに依頼して独自に行うなど、法務面での確認を十分に行っておきたい。
なお、一部区画を日系企業専用として分譲し、日本貿易振興機構(ジェトロ)がサポートしている政府系工業団地があることもインドの特徴だ。
インドでは税金や法務などの総務関係の事務が極めて煩雑で、日本からの少人数の派遣者で事務をこなすことは難しい。日系企業が集積することにより、企業間の情報交換やノウハウの共有化、日系サービス業の進出による管理負担の低減などのメリットもあり、検討に含めるべきだろう。
このように、インドへの製造拠点進出の際の工業団地選定にあたっては、現時点での分譲価格だけによる判断ではなく、専門家の意見を参考に長期的視点でのコスト予測や業務上のリスクの把握が要求される。
【焦点】
巨大な国内市場へのアクセスと価格競争力のある製品の第三国への輸出を狙い、ますます多くの外国企業がインドに製造拠点を構えようとしている。だが、土地収用の遅れなどにより工業用地の供給は絶対的に不足しており、工業用地の価格は年々上昇している。
新しい土地収用法が今年1月に施行された。新法では土地収用を行うための法的要件の厳格化や土地関係者の不服申し立てを行う手続き、買収価格の最低基準、生活再建のための措置の義務化などが定められ、事業反対や買収価格に関する事後のトラブルは抑制されそうだ。