ところが、今会合直前の20日まで都内で開かれた日米の事務協議では、米国がほぼ全貿易品目の関税撤廃という原則論を撤回しなかった。日本は米国に「本気で交渉をまとめるつもりがあるのか」(同)という疑心暗鬼を抱えたまま今会合に突入したのが実情だ。
一方、米国は今会合の直前、新興国との対立点の調整に注力。「日本包囲網」を敷くことで日本に大幅譲歩を迫る狙いがあったとみられるが、日本の反応を読み間違った側面は否めない。
日米の反目に他の参加国からは「日米が交渉を引っ張るはずじゃなかったのか」との失望感も広がるが、安倍政権にとってもTPPは成長戦略の大きな柱の一つ。交渉の失敗は「経済政策『アベノミクス』に期待し、日本買いを進めてきた海外投資家からの評価ががた落ちになる」(経済官庁幹部)恐れもはらむ。今後は、4月下旬に予定される日米首脳会談で交渉を再び軌道にのせることができるかどうかが大きな鍵を握ることになる。(シンガポール 吉村英輝、会田聡)