大量の有害物質が流れ込み、真っ黒に変色した河川。周囲には化学系廃棄物が投棄され、異臭を放っている(中国新聞社)【拡大】
水不足と水質悪化に歯止めがかからない中国。なかでも地下水の水質汚染は深刻な状況だ。水利水電科学研究院(IWHR)水資源研究所の王建華所長は「世界水の日」でもある3月22日、中国の水資源の現状に対し、危機感をあらわにした。
◆くみ上げ1000メートル超も
王所長によると、一部地域で加速する地下水の過剰揚水や水資源の過剰利用が河川の断流、湖沼の枯渇、湿地の減少といった生態系を揺るがす事態を招いている。汚染物質の排出も止まらず、水域の汚染は極めて深刻だという。
そしてその汚染は「地表水だけでなく地下水にも拡大」(北京師範大学中国市場経済研究センターの林永生副主任)。環境保護省が行った調査では、2億8000万人の飲み水に安全上問題があることが明らかとなった。国土資源省によると、全国657都市のうち、地下水を飲料水源としている都市は400都市を超える。
にもかかわらず、同省と水利省が2010年、182都市、4110カ所の観測ポイントで地下水の水質調査を実施した結果、水質が「悪い」または「極めて悪い」と判定された観測ポイントが全体の57.2%に達した。
中南財経政法大学法学院の高利紅副院長によると、地下水の水質悪化は、工場や事業所など特定の場所から排出される汚染物質が原因となる「点源汚染」と、農薬や化学肥料など汚染物質の排出源を特定しにくい「非点源汚染」の2つから起き、「非点源汚染」は、特に解決が難しい。