シュエテインドーの仏殿の前にたむろし、物乞いをする人々=ミャンマー・チャウセー郡(筆者撮影)【拡大】
◆社会構造に変化も
以上の職種は多かれ少なかれ資金のいる商売であるが、小さな洗面器一つあればできる仕事もある。物乞いである。ほとんどが未亡人とのことであり、すべて老齢の女性である。出身地はパコック(バガンの対岸の町)10人、マンダレー3人、チャウセー3人の計16人とのことであり、村の者は1人もいない。平日2000チャット、土日を布薩日には3000チャットの収入があるという。
このように、パヤーは村に新たな雇用機会を生み出し、それに乗じて所得を数倍、数十倍に伸ばした村民が続出している。しかし、村の半数の世帯がこのパヤーの恩恵にあずかれていないのも半面の事実である。
パヤーのもたらした経済効果は、大農を頂点、農業労働者を最下層とした旧来の階層構造をリシャッフル(再編)するほどの社会変化を引き起こしたが、また新たな経済格差を生み出し、ゴーバカ委員やその取り巻きたちへの妬みもひそかに渦巻いている。パヤーのごみ集積場でプラスチックごみをあさっている者たちが、長老や成金たちに反旗を翻す日が来ないとはいえないだろう。