日銀が昨年4月に導入した量的・質的金融緩和は、企業の設備投資や個人消費を刺激することを狙っている。その過程で想定しているのが(1)長期金利を引き下げる(2)銀行貸出を増やす(3)人々の物価上昇予想を高める-の3つの波及経路だ。
特に物価上昇予想に働きかけることは、従来の日銀にはなかった特徴だ。黒田東彦(はるひこ)総裁は3月20日の講演で「15年に及ぶデフレで、『物価が低下する』ことを前提とした体質が定着し景気低迷の長期化につながった」と説明。昨年4月に「2年程度で2%の物価上昇率」との目標を決め、人々の物価予想に強く働きかけることを打ち出した。
物価が将来にわたって上昇していくと予想できれば、手元の現金や預金の価値は相対的に目減りする。このため、できるだけ投資や消費に回そうという心理が働き、景気が刺激される。
また銀行の店頭などで目にする「名目金利」から「予想物価上昇率」を差し引いた「予想実質金利」も低下、住宅や自動車ローンなどの実質的な借り入れコストは下がる。そもそも日本では名目金利を引き下げる余地は乏しい。仮に名目金利の水準が同じでも物価が上昇すれば、今借り入れて購入したほうが有利になる。