賃金追いつかず
誤算は実体経済への波及が一部で鈍いことだ。
完全失業率など雇用環境は改善しつつあるものの、厚生労働省によれば2月の基本給などの所定内給与は前年同月比0.3%減の24万97円と21カ月連続で減少した。3月11日の会見で黒田総裁は「パートが増えていることもあり、所定内給与は伸びてこない」と述べ、今春闘での賃上げに期待感を示したが、物価上昇に賃金アップが追いついていない状況だ。
経済成長率も鈍化。13年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で0.7%のプラス。4~6月期のプラス4.1%、7~9月期のプラス0.9%と比べ低下した。円安が進んだにもかかわらず「新興国中心に外需が弱めとなった」(黒田総裁)ため輸出が伸び悩んでいる。日銀は13年度の実質GDP成長率を2.7%と見込むが、達成は困難な状況だ。
消費者物価指数も昨年11月に1.2%まで上昇後、円安の一服もあり今年2月まで3カ月連続で1.3%と足踏み状態だ。
4月の消費税増税で駆け込み需要とその反動が予想されるが、日本経済について黒田総裁は「基調的には緩やかな回復を続ける」という姿勢を崩していない。消費税増税に伴う景気の落ち込みを一時的なものにできなければ、2%の物価上昇率の目標は遠のく。就任2年目となる黒田総裁の手腕が問われる。