実は、巨大ビル3棟の完成は6年ぶりの賃貸オフィス大量供給になる。だが、これはオフィスの「名駅シフト」をさらに加速させることになり、名古屋市内全体のテナント移転と賃料引き下げ競争激化につながる可能性が高まっているのだ。
加えて、生産年齢人口が減っているという課題もある。労働人口の減少は全国共通の現象だが、名古屋市の場合、転入人口は他の大都市と比べ、景気動向に大きく左右される。これは、名古屋が自動車産業“一本足”経済であるという特殊事情のためだ。
ニッセイ基礎研によると、名古屋市の平成21~24年の転入超過数は札幌や大阪、福岡各市を下回った。一方で、世界経済が回復して自動車産業が沸き立った25年は、リーマン・ショックの20年以来、5年ぶりの高水準を記録。自動車産業を中核とした景気動向と転入人口の際立った連動ぶりを浮き彫りにした。
深刻な人材不足…まさか、ビルが建てられない!?
東名阪に拠点を構える大阪市のオフィス仲介業者は、「名古屋には強いベンチャー企業が圧倒的に少ない」と指摘する。実際、三幸エステートによる業種別のオフィス需要調査でも、成長産業であるIT・情報通信系の比率は他都市より小さい。“自動車一本足”の経済構造は、こんなところにも影響を及ぼしているのだ。