物流交通網の整備計画によりピサヌローク県ではここ数年、大型の商業モールなどが建設されてきた(セントラルプラザ提供)【拡大】
インドシナ半島の物流をめぐっては、かねてより国際流通網(経済回廊)の整備計画が話題となっていた。南方のマラッカ海峡を経由しなくとも太平洋側とインド洋側を結ぶことができるルートの整備が、国際交易の大きな弾みになると期待されてきた。そのうちの一つ、ベトナム中部の都市ダナンからラオス・第2メコン友好橋を通り、ピサヌロークを経由して改革・開放の進むミャンマーの港湾都市モーラミャインまで結ぶのが東西経済回廊だ。物流整備計画にはこのほか、南部経済回廊や南北経済回廊などがある。
これら経済回廊構想を現実的に促進させようとしたのが、インラック政権の交通輸送インフラ整備事業だった。タイ国鉄全線での複線化に約3900億バーツ、高速道路整備事業に約2500億バーツ。さらに日本の新幹線を想定した高速鉄道整備事業に約7900億バーツが投じられる予定だった。ピサヌロークは、これら中心事業が軒並み重なる主要エリアの一つで、地価上昇には十分な理由があった。
◆1カ月で20%下落
インフラ整備計画は、好調といわれながらも昨年後半あたりから経済に陰りが見え始めたタイの国内総生産(GDP)を毎年1%底上げし、輸送コストも大幅に引き下げる効果があるものとみられていた。観光客の増加により、新たな雇用が50万人生まれるとの試算もあった。
ところが、タイの政局がこれに「待った」をかけた。十数年に及ぶ「タクシン派対反タクシン派」の対立の影響だ。野党民主党も国土開発やインフラ整備の方向性では一致しても、政権案をそのまま丸のみすることはできない。インラック政権がこれら巨額の事業予算を通常予算外の国際融資や国債の発行で賄おうとしたことを問題視したからだ。