■世銀報告書に中国なぜか反発
中国の経済規模が年内に米国を抜いて「世界最大」になるとの見通しを世界銀行が公表し、論議を呼んでいる。
中国は2010年、米ドル換算の名目国内総生産(GDP)が日本を上回って世界第2位の経済大国にのし上がったばかり。米国を追い上げていることは事実だが、米中逆転の時期はこれまで、国際通貨基金(IMF)などが19年前後と見込んでいたはずだ。
国や地域別の経済規模は名目GDPを米ドル換算するのが一般的。だが世銀は、現地で実際にサービスも含むモノを「買う力」に重点を置いた購買力平価(PPP)と呼ばれる手法で比較を試みた。
世銀の報告書によると、11年に米国のGDPは約15兆5330億ドル(現在のレートで約1584兆円)だった。一方で、当時の為替レートでドル換算した中国のGDPは7兆3210億ドルだが、PPP換算では13兆4950億ドルに膨らんで、米中差はおよそ2兆ドルにまで縮まっていた。
IMFの予測では、11年から14年までの成長率は中国の24%に対し、米国は7・6%で、PPPで換算すれば米中は今年、逆転するという。
PPPは市場の需要と供給で決まる為替レートとは異なり、生活実感により近い。