大林組は、街づくりを可視化できるシステム「スマートシティ インフォメーション モデリング」を提供する。建築物、エネルギー、地中構造物などの情報をコンピューター上で3次元化するもので、上下水道や道路線形などに関する行政機関の情報が必要だ。同社は国内外の都市開発事業でこのシステムを提案している。
オープンデータをめぐっては、米国で普及が進んでいる。例えば、行政機関の航空機の到着実績データや空港の利用状況に関する情報、天候データを活用し、個人が容易に運航状況を検索できるサービスがある。野村総研の城田真琴上級研究員は「米国のシカゴやサンフランシスコでは、自治体がオープンデータの活用を促し、地域のITベンチャーを育成している」と指摘する。
オバマ大統領は13年5月、政府情報のオープンデータ化を義務付ける大統領令を発令し、政府機関の作成するデータは基本的にコンピューターで扱いやすい形式とした。
市場規模5100億円
日本でも、政府主導でオープンデータを活用した新ビジネス・サービス創造を支援する動きが始まった。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は13年12月、予算・調達や防災などに関する情報を機械判読に適したデータ形式でネット上に公開し、営利目的も含めた自由な編集・加工ができる試みを始めた。国は現在、各府省ホームページの利用ルールの見直しを検討している。経済産業省によると、12年度のオープンデータの市場規模は、マーケティングリサーチや特許、実用新案などの分析を行う産業財産権情報、フリーペーパーなど計9分野で総額5103億円と推計する。