会談を前にフロマン米通商代表(左)と握手する甘利TPP相=19日、シンガポール(共同)【拡大】
シンガポールで19日、閣僚会合が開幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は、日本の重要農産品5分野の関税などをめぐる日米協議がなお難題としてのしかかっている。関税協議で原則自由化を主張するニュージーランドとの交渉も日本にとってはハードルとなり、大筋合意に向けた道筋は険しい。
「日米がリードして交渉全体の推進力をあげていくことを確認した」。甘利明TPP担当相は19日の会合後の会見で、米通商代表部(USTR)のフロマン代表との会談内容に関してこう説明した。
だが、交渉全体の足かせとなっていた日米協議は4月24日の首脳会談と、その前後に重ねられた閣僚折衝以降、中断を余儀なくされていたのが実情だ。協議で日本に譲歩しすぎているとの不満が米業界団体から噴出し、米国側が動けなくなっていた。
日米は事前に事務レベルの“地ならし”を一切しないまま、今回の閣僚会合に突入。両国は事務レベル協議を再開したが、今会合では日本の牛・豚肉の関税の引き下げ幅や自動車の安全基準の扱いなど「残された課題を詰め切る時間的余裕は乏しい」(交渉筋)。
甘利氏は会見で「今まで日米の交渉がストップしているのをかなり遠巻きにみていた関係各国が一斉に間合いを詰める作業を始めた」と述べたが、日米が交渉全体のブレーキになっている状況に変わりはない。
一方、甘利氏は19日に、米国以外でもニュージーランド、マレーシア、シンガポール、ペルー、チリ、オーストラリアの6カ国と個別に会談した。重要5分野の関税維持に理解を求めたとみられるが、ここで難敵となりそうなのが農業国のニュージーランドだ。
同じく農業国のオーストラリアとは4月に経済連携協定(EPA)で大筋合意し、関税維持で一定の合意を取り付ける下地は整った。これに対しニュージーランドは「関税の全廃を目指す姿勢を崩していない」(交渉関係者)という。
全体会合でも甘利氏は重要5分野について「関税を撤廃することはできないけれども、できるかぎり市場アクセスを改善する」と訴えたが、ニュージーランドなどが原則論を繰り返したという。ニュージーランドの主要輸出品目の一つとなる乳製品で、日本は低関税の輸入枠を導入する譲歩案などにより歩み寄る構えだが、同意を得るメドは付いていない。
(シンガポール 本田誠)