中国山東省で開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合は18日、域内の経済統合をめざすアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の工程表を年内に作成するとの「青島声明」を採択し、閉幕した。だが、議長国の中国が狙った具体的な目標時期は盛り込めず、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を先行させたい日米などとの温度差が浮き彫りになった。
日米主導のTPPを「中国包囲網であり経済新冷戦だ」(上海の有識者)と警戒してきた中国だが、李克強首相が先月、自ら主導権を握る「域内包括的経済連携(RCEP)」とTPPは矛盾しないと表明。TPPにも関心を示す姿勢に転じつつあり、APEC貿易担当相会合では、「むしろTPPが影の主役」(日中関係筋)だったとされる。
議長を務めた中国の高虎城商務相は記者会見で、TPPなど個別の交渉が「多角的貿易体制の足を引っ張るべきではない」とクギをさした。だが、高商務相は会合に前後して、関係悪化が続く日本の茂木敏充経済産業相を含むTPP交渉参加国を中心に、2国間の会談を積極的に行った。19日からのTPP交渉閣僚会合に関する個別情報を引き出す狙いがあったようだ。