【国際情勢分析】
中国北西部の甘粛省蘭州(かんしゅくしょうらんしゅう)市で4月中旬、水道水から安全基準値の20倍を超える発がん性物質、ベンゼンが検出された。近くの石油工場のパイプ漏れによる工業汚染が原因で、政府発表が遅れたこともあって、市民が少なくとも10日間も汚染された水を飲み続けたことが後に判明。大きなパニックが起きた。どの程度、健康被害が広がったかは今も不明だ。
その後、蘭州をはじめ、他の化学工場近くの地域でも、ペットボトルの飲料水の買い占めで混乱が生じるなど、市民の間で水への不安と政府への不信が高まっている。
基準の20倍超のベンゼン
4月11日午後2時頃、蘭州市政府は「水道水から発がん性物質が検出された」と発表し「24時間以内に水道水を飲まないように」と市民に呼びかけた。当初は、市民たちはコンビニエンスストアなどで飲料水を少し買い貯める程度で、大きな混乱はなかった。
その後、蘭州市内にある中国石油天然ガス集団(CNPC)系列の会社が保有する石油パイプラインから漏れた原油が水道水の配管に浸透したことが原因であることが、メディアの報道で明らかになった。