中国の薬物犯罪は、北京で開催中の全国人民代表大会(国会)で「薬物犯罪との闘争を積極的に進める」と報告されるなど、深刻な状況が続く。こうした中、南部の広東省では、村ぐるみで薬物を密造していた「覚醒剤村」こと汕尾(せんび)市博社村が、昨年(2013年)末、警察に摘発された。19世紀にアヘン戦争の戦場となった広東省で、なぜ村人は中国最大の薬物犯罪にのめり込んだのか。現地を訪ねた。
「50グラムの所持で死刑になる覚醒剤を、博社村ではトン単位で取引してきたんだ」
左右に水田が広がる細い道を走りながら、白タクの運転手は笑った。
のどかな風景と裏腹に、「覚醒剤に手を出すな」「薬物撲滅の人民戦争に打ち勝とう」という物騒な標語が目立つ。記者が訪れた2月には、警棒を持った警察官が村の入り口で車を検問していた。
陽気だった運転手は、検問所の手前で車を止め、「この先は歩いてくれ」と記者を放り出した。数年前、たまたま覚醒剤の運び屋を乗せた白タクの運転手が検問で捕まり、薬物犯の共犯として処刑されたという。