TPP交渉の閣僚会合に臨む甘利担当相(手前左)=19日、シンガポール(共同)【拡大】
日米など12カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が19日、シンガポールで開幕した。20日までの2日間で、関税の撤廃・削減をはじめ、国有企業改革や知的財産保護など難航分野を中心に議論するが、交渉全体の大筋合意は見送る見通しだ。交渉の長期化を避けるには、今夏の大筋合意に向け具体的な道筋を描けるかが焦点になる。
閣僚会合は19日午前の全体会合で各分野の状況を確認し、午後は参加各国の閣僚らが個別に2国間での話し合いを進めた。
会合に先立ち、甘利明TPP担当相は、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と閣僚会合の進め方などで会談。全体会合では、日本の重要農産品5分野の関税などをめぐる日米協議の現状を説明した。
甘利氏は同日、今回の会合について記者団に「閣僚間で交渉全体の進捗(しんちょく)を評価することが大きな狙い」と述べ、大筋合意は難しい情勢にあることを示唆。その上で「(交渉が)漂流しないように切迫感を持つことが大事だ」と強調した。
11月に中間選挙を控える米国も今夏には大筋合意にこぎ着けたい考えだ。(シンガポール 本田誠)