人民元を売って41ビットコインを買い、資産を第三国に移す。これに引きずられてビットコイン相場は急上昇し、10倍に達した。多くの中国の富裕層とその一族が永住権を取得しているカナダ、ほぼ自由に出入りできる香港、さらにカナダに次ぐ移民先のオーストラリアは、ビットコインのATMが設置されているので便利このうえない。
なにしろ、中国の投機マネー(熱銭)の規模は大きい。不動産相場が高騰していた2011年秋には年間ベースで3000億ドルの熱銭が外部から流入し、不動産価格が下落に転じた翌年には同2000億ドル以上の資金が国外に流出した。不動産バブルが崩壊すれば3兆ドル規模の不良債権が発生しかねない。その不安からビットコインが買われ始めたわけで、ビットコイン熱が高まれば高まるほど人民元資産が売られて、バブル崩壊を加速させかねない。
危機感を募らせた中国人民銀行は昨年12月5日、「人民元の法定通貨としての地位を損なうのを防ぐ」として、金融機関に対しビットコインを使った金融商品や決済サービスの提供の禁止を発表した。