期間は同じ74~10年。予選開始から決勝戦までの1カ月間の株価変動率を調べると、優勝国は平均でMSCI指数を0・9ポイント上回った。実際に優勝すると、さらに株価は調子づく。決勝戦から1カ月後の優勝国の株価変動率は、平均で3・5ポイントほどMSCI指数を上回った。決勝戦からの1カ月間で、優勝国の株価変動率がMSCI指数を下回ったのは日韓共催の02年だけである。
過去の優勝国はドイツ(旧西ドイツ)、イタリア、ブラジル、フランスといった国民がサッカーに熱狂するお国柄だ。優勝によって景況感が浮揚し、経営者の投資判断や個人消費に火が付く-という期待が生まれるのだろう。
株価変動率を回帰分析すると、優勝国の決勝戦前1カ月と決勝戦後1カ月の間にも正の相関関係がある。優勝すると、決勝戦後1カ月の株価パフォーマンスは決勝戦前1カ月の数値に0・98をかけて2・53を足した値になるのだ。決勝戦までの緊張感が一気に解放されて、相場観が上方修正するのかもしれない。
一方で、決勝戦で敗北すると株価は横ばいにとどまる。準優勝した国の株価の決勝戦後1カ月の対MSCI指数変動率は平均で2・5ポイント上昇と決勝戦前1カ月の同2ポイントと大して変わらない。
さらにいうならば、74年から10年までの10大会のうち、7つの大会で準優勝国の株価が決勝戦後1カ月でMSCI指数を下回っている。過去の準優勝国はオランダ、アルゼンチンとこれまたサッカー大国だが、期待の高まった決勝戦で敗北すると、国民感情が消沈して景気にも悪影響を与えるのだろう。