ペルシャ湾を警備する米海軍第5艦隊(米海軍ホームページから)【拡大】
実際にホルムズ海峡が封鎖されるような国際的な紛争が起きた場合、日本は先進国の中で最も深刻な打撃を受けるとみられている。発電比率の3割を占めていた原発が昨年9月からすべての運転を停止。現在は火力発電比率が過去最高の9割にまで高まっており、そのための燃料輸入が急増しているからだ。
日本は原油の85%、液化天然ガス(LNG)の3割について、ホルムズ海峡を経由して輸入している。そうした中でエネルギーの大動脈が封鎖されれば、作家の堺屋太一氏がベストセラー小説『油断!』で描いた悲惨な日本の姿が現実のものになりかねない。
日本のエネルギー安全保障は、第1次石油危機を受けて具体的な検討が始まった。安い原油で高度成長を謳歌(おうか)していたが、1973(昭和48)年にイスラエルとアラブ諸国の軍事衝突を契機に発生した石油危機で原油価格は一時、戦争前の4倍に急騰。当時、原油の8割を中東から輸入していた日本では「石油の供給が止まるのでは」との不安が広がった。
これに伴い電力使用が制限され、飲食店などは深夜営業を中止。トイレットペーパーが店頭から消えるなどの混乱が起こり、狂乱物価に襲われて高度成長は終焉(しゅうえん)を迎えた。
この苦い経験を教訓にして、「脱中東」「脱石油」を合言葉にしたエネルギー戦略が推進されてきた。