【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(17) (2/3ページ)

2014.6.20 05:00

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)【拡大】

 第2の理由は、親の生前に子供たちが「きょうだい間計画(タージンタズ・スィーマンフム)」という財産分与同意を口頭または文書で行うことが可能で、慣習法の意には反するが、裁判によってこの行為を否定することはできない、とされていることにある。この同意に親が介入すること、あるいは親が子供らを説得して同意させることは十分に考えうる。これがあれば、(野党指導者の)アウン・サン・スー・チー氏と(兄の)アウン・サン・ウー氏の相続争いに象徴される裁判沙汰は起こらないですむ。

 第3は、結婚したら別世帯を構えるというオー・クェの慣習との矛盾である。別世帯を構えるときにこそ子供たちは家屋敷の購入資金や生計手段などが必要であるのだが、これを相続財産の前倒しとして受け取ることはできない。その代わり、親は子の結婚時にレップェと呼ばれる贈与をするのが慣習となっている。これには土地や家畜を含めてもよいが、そのような贈与をする金持ちの親は村には稀(まれ)である。親子の経済事情を斟酌(しんしゃく)して適当な時期に生前贈与が行われる。それを村人たちはレップェとは呼ばず、アムェーすなわち相続と呼ぶ。仏教徒慣習法とは異なり、村人たちには生前贈与と死後相続を区別する意識は薄い。

 補完的な意味で、第4にミャンマーには相続税も贈与税もないことがあげられる。慣習法に従うように贈与を抑制し、相続にインセンティヴを与える税制がないのである。

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