【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(17) (3/3ページ)

2014.6.20 05:00

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)【拡大】

 ◆農業で生計第一義

 ティンダウンジー村で、曲がりなりにも農地の分割相続ができるのは、この地域では灌漑(かんがい)が整備されていて多毛作が可能、すなわち土地生産性が高いので、小面積でも何とか生計が成り立つからである。

 これに対し、水稲の単作しかできなかった社会主義時代のズィーピンウェー村では、8エーカー(約3.2ヘクタール)未満になると農業だけでは食べていけなかったので、慣習法に反して、農地は一子のみに相続されていた。また、チン丘陵の村々では、子供全員が分割相続していた焼き畑が、人口圧が高くなると男子のみになり、やがて長男のみの相続に変わり、それでも相続が無理となると村の共有地となっていった。

 村の農地相続においては、農地関係法や慣習法は二の次であり、子供たちが農業で生計を立てていけるか、不可能な場合はどのように自立させるかが第一義である。ミャンマー農村での農地相続は法律問題ではなく、経済問題なのである。

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