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もちろん妥当性が感じられない値上げに対して、不満や怒りを感じ、反発する人は当然いる。政府は昨年秋に消費者庁に「便乗値上げ情報・相談窓口」を設けた。着実に苦情や相談は届き、4月には最高の1555件が寄せられたという。前述の「いきなり8%」の苦情も多数届いたそうで、驚いたことに飲食店のみならず、小売業であるスーパーの事例まであったという。
だが、こうした訴えに対する消費者庁の出した結論は「便乗値上げに当たるものは1件もない」。なぜか。
担当官に説明を聞くと、「どのケースにも値上げの理由はあり、極端に悪質な値上げはなかった」というのだ。消費者庁が、売り手である企業や事業者に対して性善説で臨んでいる可能性はあるものの、例えば何%以上の値上げなら問題だ、という判断基準もないため、よほどのことでもない限り、便乗値上げ摘発といった行政対応は期待できない。
この問題、当面は訴え出る先すらないので、あとは「買わない」「他で買う」という行為を通じて、経済原則による選別に期待するしかないのか。いや、納得できないときや疑問に感じたときは、企業や事業者に対して、遠慮なく説明を求めるべきだろう。沈黙を快諾にすりかえられては、たまったものではない。