数年前、マニラ北西のパンパンガ州にあるクラーク経済特別区(CSEZ)を取材した際に会った地元の知事が「フィリピンはスペイン、米国、日本に占領された。それぞれひどいことをした。われわれに謝ったのは日本だけだ」と語っていたことを思い出す。
米国回帰に反応複雑
今、フィリピンの経済は好調だ。今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は5.7%だったが、政府は通年では6.5~7.5%成長が可能と強気の構えだ。
中国との関係悪化で中国からの直接投資は減少したものの、代わって日本や米国からの投資が拡大した。安全保障面でも、アジア回帰を掲げる米国の重要拠点の一つがフィリピンだ。
フィリピン国内では、日本に対するよりも、米国に対する感情的なわだかまりの方がはるかに大きい。かつて米海軍が基地としていたスービック湾でも経済特区(SEZ)開発が進むが、米海軍の寄港を認めた政府に対し、地元民からはかつて米兵が多くの事件を引き起こしたことへの反発のほか、長期駐留につながるとして、反対デモも行われた。こうした声も、目の前に中国という脅威があるがために、大きなものになってはいない。