記者会見するJA全中の万歳章会長=8日、東京都千代田区【拡大】
万歳章会長を再選したJA全中が直面する最大の難題は安倍晋三政権が成長戦略の重要課題の1つに位置づける農業協同組合(JA)改革だ。JA全中は自己改革の議論を加速する構えをみせるが、組織温存に向け安倍政権による改革を骨抜きにしたいのが本音だ。自己改革がおざなりとなり、抜本改革を目指す政権との攻防が激化する懸念は大きい。
「自己改革はスピード感を徹底した議論を進めていくとともに、国民のみなさまにご理解いただけるよう検討していく」。万歳会長は同日の臨時総会後の会見で、こう強調した。
政府は年内に具体的な農協改革案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する。その際、JA全中の自己改革案も踏まえて結論を出す方針。万歳会長が「改革案はJA自らが決めたい」と訴えたからだ。
そもそも農協改革は一律的な経営指導に批判の多いJA全中などの影響力を弱め、全国約700の地域農協の創意工夫を引き出す狙いがある。
政府が6月に閣議決定した新成長戦略は、JA全中を頂点とする中央会制度について「自律的な新たな制度に移行」と明記した。規制改革会議の答申を踏まえたものだが、その答申も当初案では「廃止」との表現を盛り込んでいた。これが削除されたのは、反発するJA全中に配慮した自民党の改革案を反映したためだ。
ただ、安倍首相は改革への意欲を失っておらず、自民党も農協擁護論一色ではない。万歳会長は会見で「自律ということをもって、今までJAは運営され活動された経緯がある。これからもそうありたい」と述べ、政権と対(たい)峙(じ)する姿勢をにじませたが、衰退する一方の国内農業を支える農協にどう生まれ変わらせるかが問われている。