日米などの参加国は11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前後に、TPPの首脳会合を開催して大筋合意にこぎ着ける青写真を描く。甘利明TPP担当相は「11月に(交渉全体で)大筋合意するなら日米は9月中には閣僚レベルでまとまっているのが理想」との認識を示している。
ただ、参加国内では「11月か12月に交渉が終わる可能性がはっきりしているとは思わない」(オーストラリアのロブ貿易・投資相)と交渉の越年論がなおささやかれる。11月の中間選挙が終わるまでは米国は妥協が許されない政治環境が続くと予想されるからだ。
一方、日本政府にとっては越年は何としても避けたいところ。
「来春の統一地方選に向けて、TPPの影響を懸念する国内農家の理解を得るためには、対策を講じる時間を確保する必要がある」(政府高官)からだ。結論の先送りを繰り返してきたTPP交渉だが、そろそろ着地点を見いだす時期にさしかかってきた。(西村利也)