【香港=河崎真澄、田中靖人】香港で続く大規模な街頭デモは6日朝、梁振英行政長官が強制排除を示唆して退去を求めていたアドミラリティ(金鐘)の政府庁舎周辺で包囲の一部が解かれ、職員約3千人が大きな混乱もなく登庁した。
梁氏が「最も差し迫った問題」としていた休日明け6日の政府機能の正常化にメドがついたことで、学生らデモ隊への強硬手段の懸念はひとまず遠のいた。
道路占拠の影響で休校が続いていた香港島中心部の中学校の一部が6日、授業を再開。また、6日午前の香港株式市場は、代表的指標のハンセン指数が寄りつきで前週末終値に比べわずかに下げたが、すぐに上昇に転じた。金融株などに割安感が出ているという。
今後の事態収束へカギを握る民主派系学生団体の大学生連合会(学連)側と政府側との「対話」は、5日夜に初の事前協議が行われたが、今後の対話の進め方などで合意に至らず、正式対話の日程は決められなかった。政府ナンバー2の林鄭月娥政務官(閣僚)との対話実現が焦点となる。
学生側は「強制排除を行わないことが正式対話に向けた条件だ」としている。
政府庁舎に隣接した行政長官弁公室(官邸)前では、数十人の強硬派学生らが徹夜で占拠を継続して車道を封鎖し、6日午前も梁氏らが登庁できない状態だ。デモ隊の最大拠点、金鐘や九竜地区の繁華街モンコック(旺角)の幹線道占拠も続いている。学生の間では穏健派と強硬派の路線の違いが明確になってきた。