政府と日銀が発表している景気判断に温度差が生じている。内閣府が月例経済報告などで景気判断を引き下げる一方、日銀は強気の判断を貫く。市場に大量のお金を供給する日銀の“異次元”金融緩和は、企業や消費者のマインドを高める試みとあって、「弱気を見せられない」(市場関係者)からだ。ただ、大半のエコノミストが「景気後退局面に入った」と分析しており、日銀への信頼が揺らぎ始めている。
内閣府は10月の月例報告で、判断の表現を9月の「一部に弱さもみられる」から「弱さがみられる」に変更した。「一部」という表現を削除し、2カ月連続で下方修正した。自動車や住宅など高額品の売れ行きが伸び悩み、生産が落ち込んだためだ。甘利明経済再生担当相は「消費と生産は若干弱含みになっている」と、景気の下ぶれを認めた。
8月の景気動向指数が悪化した際も、景気判断を「足踏み」から「下方への局面変化」と4カ月ぶりに下方修正し、数カ月前から景気が後退局面入りした可能性を示唆した。