企業規模別税負担率【拡大】
財務会計でみる税額は税申告額と一致するとは限らない。従ってカッコ内の負担率はグループ全体の実際の税実効負担率ではないが、教授は参考値として書き入れた。実はこの奇怪な数値は、大企業や金融機関有利の法人税構造を浮き彫りにしている。
銀行や企業大手は傘下に多くの国内子会社や関係会社を抱えるが、これら法人から受け取る配当金は「受取配当金不算入制度」により非課税となる。また、海外子会社から受け取る配当も「外国子会社配当金不算入制度」に応じて実質的に無税になる。その結果、持ち株会社の税負担が極端に低くなる。持ち株会社でなくても、大手商社や多国籍化している企業もこの税制を大いに活用している。
事業会社の実効税負担率(連結ベース)は丸紅7・1%、日産自動車21・4%、三菱商事23・2%、トヨタ自動車31・6%という具合だ。
富岡試算値などからうかがえるのは、大手企業や銀行は節税して手元資金を確保し、海外でM&A(企業合併・買収)攻勢をかける一方、配当を増やして内外の投資家を引きつけるグローバル化に徹している現実だ。大手企業のビジネス戦略としては当然のことだ。大いにやればいい。収益を稼げばいい。そして納税すれば文句ない。