円安による商品やサービスの価格競争力向上は、企業業績の改善にも寄与する。SMBC日興証券によると、一部上場企業1378社(全体の99.6%)の15年3月期の営業利益予想は前期比6.5%増。国内事業だけでなく、海外で生産・販売する企業の収益も円換算で拡大している。
だが円安の恩恵は「業種によってばらつきが出ている」(SMBC日興証券の太田佳代子クオンツアナリスト)のが実情だ。業種別予想では、自動車など輸送用機器(4.5%増)や機械(13.5%増)の好調ぶりと比較しパルプ・紙(0.9%減)や小売業(4.8%減)などの内需産業は減益の見込みだ。
輸入価格上昇に伴う燃料コスト高も懸念材料として残る。昨年4月の日銀の大規模金融緩和では、原油や液化天然ガス(LNG)などの輸入増が定着、貿易赤字の慢性化につながった。ただ世界的な需要低下により、原油価格の先物相場は下落傾向で、円安の進行次第ではコスト高が緩和されるとみられる。
菅義偉官房長官は20日の記者会見で「(円安に)メリット、デメリットがあるのは事実」とした上で、「国民生活にできるだけ影響がないよう対応策をとることは大事」と強調した。