【クレムリン経済学】先行き見えぬルーブル安 インフレ率上昇、政権の脅威に (1/3ページ)

2014.11.24 05:00

 ロシアの通貨ルーブルが急落している。中央銀行は変動相場制への移行など対処策を打ち出し下げ止まりの様相を見せているが、上昇の気配は見えないままだ。ルーブル急落は過去にもあったが、今回はウクライナ危機という特殊要因を背景としており、先行きは極めて不透明な状況だ。

 ◆両替所の前に列

 「ここの両替のレートはいくら?」

 11月中旬、モスクワ市郊外の空港では、手持ちの現金を少しでも良いレートで交換できる両替所を懸命に探す市民の姿が見られた。ルーブルは対ドルレートで11月3日からの1週間だけで約8%下落。年初来の下落率は30%を超え、1ドル=50ルーブルに近い水準で推移している。そのようななか、ルーブル建てで給与や年金を得る市民の懸念は強まる一方だ。

 ソ連崩壊後、ルーブルが暴落し紙くず同然になったロシアでは、国民のルーブルに対する信頼度が低い。人々は少しでも資産を守ろうと両替所の前で列をなし、ルーブルをドルに換金することが当たり前になった。今回の通貨下落は、1998年、2008年の経済危機に匹敵する規模とも言われている。

 ルーブル安は、ウクライナ危機に伴う欧米の対露制裁をきっかけに、原油価格の下落、また投機的な動きが重なり、加速したと指摘されている。

 ウクライナ情勢をめぐっては、欧米は7月に発生した同国東部上空でのマレーシア機撃墜事件を境に対露制裁を本格化させた。それまで個人への渡航禁止や資産凍結などが中心だったが、事件を契機に金融やエネルギー、軍事などロシアの主要産業への制裁にシフトし、対象となった企業は欧米市場での資金調達が事実上行えなくなった。これがロシア経済の見通しを不透明にさせた。

 主力輸出商品の原油価格の下落も追い打ちをかけた。年初に1バレル当たり100ドルを超えていた米国産標準油種(WTI)は、11月には80ドルを割り込んだ。

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